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[インタビューシリーズ] フリーランスからIT企業の社長になった話。




先日、日本に帰った時に、複数の友人の話を聞いていて悲しくなりました。日本には仕事の環境に満足して居る人がほぼ居ない、時代に沿わない働き方をして居る印象がありました。

  1. 小さい子が居るのに旦那の仕事が毎日深夜過ぎに帰ってくる

  2. 有能だったのに上司のパワハラで退職に追い込まれた

  3. 仕事が終わらなくて、会社のタイムシステムを誤魔化して退社している。(残業代が多すぎると承認が必要な為)

  4. 会社の育休制度が無いに等しく、出産を機に退職させられた

  5. 保育園の数が足りず仕事がしたくても点数が足りず入園出来ない

もちろん私自身も、自分で会社をやりながら子育て、海外に住むというのは大変ですが、自分で色々と管理が出来るのは凄くありがたい事だと思います。


そこで日本でも、海外でも、30代/40代で起業した、開業した、自分の好きな研究をしながらお金をもらってる、旅をしながらお金をもらってる、色々挑戦して居る人をインタビューして記事にしていこうかなと思いつきました。環境の近い人で、同年代だったり、同じ様な教育を受けて居て頑張って居る人、その人達の考え方っていうのを吸収していって、働き方についての考え方が変わる、と思ってます!


今回は、ベルギーのヘント郊外でソフトウェアのデベロッパー、アウトソーシングやウエブデザインをやって居るJAMAZAの社長、ジェイソンさんからお話を聞きました!ジェイソンさんはアメリカの会社で働いていましたが今はベルギーで起業して15年のベテランです。ページ上部のベルギー式ビリヤードを教えてもらったり普段仲良くしてもらってます。


1)JAMAZAとはどんな会社ですか?名前の由来は何ですか?

JAMAZAはITのソリューションをお手伝いする会社です。例えばウエブサイトを作る仕事もありますし、ディズニー映画の多言語訳したファイル管理する大きなプロジェクトに関わったりもします。ITビジネスに最初に興味を持ったのは「インターネットはバリアが無い」から無限大の可能性を秘めて居るものだと感じたんです。


JAMAZAという会社名はどこから来たかと言うと、現代辞書に”存在しない言葉”を作りたかったんです。由来は私の名前、Jason(ジェイソン)のJA、パートナーのManfredのMAを合わせた後にZAを適当に入れてみました。グーグルで検索してもうちの会社しか出てこない様にしたかったんです。


IT企業って何とかソリューションズ、とかウェブ何とかって名前が多いので差別化をはかりたくてこの名前にしました。


2)何がきっかけで起業に踏み切ろうと思いましたか?

若い頃はネットが好きでフリーランスでウエブ構築や、プロジェクトベースで3社くらいから仕事を請け負っていました、そのうちの一社が買収されて、いきなり部下30人くらいのマネージャーに昇格したんです。


買収した会社ってのがザ・アメリカ企業!っという会社でした。ITバブルの真っ只中でアメリカの会社はどこの会社もダブルデジット(2桁:10%以上)の成長率を求められていたので、生き延びる道は1)大幅な人員削減 か 2)企業買収 しか無かったんですね。


例えば年末には下位何パーセントの人のクビを切らなければならなくて凄く苦痛でした。上手にクビを切れたらそれでボーナスが出る様な世界だったんです。これだけクビにしたから会社としてはこれだけ経費を削減した!って勘違いしていて。それが本当に嫌で嫌でたまらなかったんです。実際に他人をそんな風に扱う事に抵抗がない人、年がら年中仕事はそっちのけで社内政治だけに力を入れて居る人がドンドン昇格しちゃって、気づいてみたら上司がアホばっかり!どうしたらウチのチームの人員がクビにならない様にするかばっかり考えてました。


今まではフリーランスで働いていたので与えられた仕事をいかに上手にこなすかだけ考えれば良かったのが、マネージャーになってからは色々な雑用が舞い込んで来て大変でした。まず会議が1日2−3件入っている、しかもOUTLOOKの設定でなぜかどの会議も1時間に設定されているのです。時間の無駄だなって思いました。会議にものすごく時間を取られるので自分の仕事なんてやりたくても手が回らなくなってしまいました。


そういった会社の嫌な点が浮き彫りになって40代の頃に、同僚のベルギー人に「一緒に会社を立ち上げないか」って誘われたんです。なので、働いていた会社に無駄が多いと思ったのと、方針が本当に嫌で。自分たちでやった方がうまく出来るんじゃ無いの?と思ったのがきっかけですね。

3)JAMAZAが他社と違って優れている点は?

うちの会社の一番の売りは”アウトソーシング・Outsourcing”に非常に優秀な人を見つけられる点です。(アウトソーシングは自国の賃金より安い国に仕事を丸投げする感覚です。)

よくIT関連をアウトソースする時には失敗しがちなのが、安い賃金に惹かれてアウトソースして居るのにその賃金を更に下げて契約しようとする会社が多いんです。


前の会社でアウトソースのプロジェクトに関わった時を例にすると、メキシコ、インド、ロシアと中国にシステムエンジニア人材を採用する際。アメリカで雇ったら時給35−45ドルの人材がロシアのサントペテルスブルグでは24ドルで雇えるのにも関わらず、それを会社は20ドルで契約しようとしてるんです。すでにアメリカ本土で雇うよりもはるかに安く雇えるのにそこから更に4ドル値下げする価値は無いんじゃ無いか、値段を下げた事でその値段で承ってしまう無能な人たちが集まってしまうと僕たちは考えています。


優秀な人を探して、24ドルで契約ではなく仮に30ドルで契約をすれば、相手も期待に添えようと頑張るし、アメリカ本土で雇うよりもすでに利益を出しつつ、現地で優秀な人材を確保して長期働いてもらう方が4ドルその場でコストを下げるよりも会社として遥かにメリットが高いです。


会社を始めて15年ですが、最長で12年契約して居るロシアの女性が居ます。とても優秀で2回昇格して居ますし、優秀だからこの先も長い間ウチのプロジェクトを承ってくれると良いなと思っています。私たちの会社が他の会社より多めに出して居る分、小さな原価率で優秀な人材・良いソリューションを提供できて居ます。


もう一つ以前の会社と違う点は、現地採用は現地でやってもらって居る点。アメリカの会社って現地に自分たちのオフィスを建てたい会社が多くて、勝手も分からないままインドとかロシアとかに進出しようとして失敗する事が多いのです。前社ではインドは現地のコンサル会社を通さなかったせいで問題発生してしまったり、ロシアでは官僚に払う賄賂をアメリカの会計システムで管理できなかったりしました。


私たちは現地に既存した会社と取引をして居るので、そういった現地の事は現地に任せてしまっています。優秀な人材さえ提供してもらえれば採用や契約形態は任せています。


4)従業員から経営者になって気づいた点

いい質問ですね・・。従業員の時は自分が上手に仕事できれば周りは関係なかったんですが、経営者となると、その自分の仕事と同じ品質の仕事が出来る人材を探す事がメインの仕事になります。


僕は自画自賛では無いですが、自分と同等の仕事を誰かにしてもらいたければ3人は雇いますね。笑 だって経営者(マネジメント)の他にもシステムエンジニア、プログラマーなどの技術面も必要ですし、人事、コミュニケーション、マーケティング、プロジェクトマネージャー、全部目を通す必要があります。その仕事を細切れにしてそれをどれだけ信頼している人に任せられるかが経営者の使命になりますね。


ちなみに15年やってきて学んだ事は、”No one you employ would do the same job as you. 自分と全く同レベルの仕事が出来る人は居ない”という点。出来ないを前提に教育をきちんとしたり、1人でギリギリ出来そうな仕事は1人に任せるのではなく2人雇ったりする事で対応します。


僕のパートナーのManfredはもともと凄く有能なシステムエンジニアなので、我慢が出来なくなって”あんな無能な奴クビにしてしまえ!”と癇癪を切るんですが、僕は教育を変えてみたり、もう6ヶ月チャンスをあげようよ、となだめます。


エンジニアとしての切れ者の彼とマーケティングや営業も出来る穏やかなキャラクターの僕で短所を補いつつ、2人の長所が経営に活かせていると思います。


5)起業したばかりの頃、どのように顧客を開拓しましたか?

お客さんのベースとしては、Disneyの多言語プログラムを成功させた実例があったのでDisneyさん、それからMarvelシリーズを製作している5thKindさんなどカルフォルニアの映画業界をベースに口コミで広がっていきました。その点ちょっとラッキーだったかもしれません。それからほとんど宣伝なしに口コミで広がっていきました。


あとは常に「Honest 正直」でいる事。受注出来る、できない(Can or Can not)を正直に言うだけでクライアントとの信頼関係も自然と育まれます。仕事に納得してリピーターのお客さんが多いです。


直近の2年の間では仕事の幅も量を増やしているところです。小さな組織なので融通が聞くから「グレー」なゾーンの仕事を扱えるんです。途中でやめちゃったプロジェクトを再建させるとか、その会社に必要な事をなんでも請け負えるから委託する方も都合が良いんでしょうね。ミーティングとかも必要最小限にする事で、きちんと仕事をする時間に回しています。今の会社では5分とか7分とかの短いミーティングで済ませる事も多いです。


最近ではロシア、インド、中国以外にも若者の失業率が高いイタリア、スペインへのアウトソーシングしています。すごくWin-Winなビジネスだと思います。受注された国は良いお給料で仕事できて、受注する国は安く良いものが手に入る。それをお手伝い出来るのは光栄な事ですね。

6)若かりし頃の自分に(20代、30代)アドバイスがあるとしたら何ですか?

若い頃の自分にアドバイスしても聞かなかっただろうな〜!笑 自分は何でも知ってる、っと思ってたし、聞く耳を持たなかったんじゃないかな。もしタイムマシンみたいなのに乗って未来の自分が現れたらびっくりして何か聞く耳を持つかも。


(ここから数分、タイムマシンに載ってどう登場すれば聞く耳を持つか自己分析してました)


強いて言うなら・・・


30代の頃って”自分で何でもやらなきゃ!”と思ってたから凄く孤独だったんです。そんな自分に教えてあげたい事は「To love your self もっと自分自身を好きになって下さい、and you are not alone そして自分は独りじゃ無い」って事を教えてあげたいです。


JAMAZAのサイトはこちら


ジェイソンさん、インタビューありがとうございました!


ジェイソンさんとパートナーのミツコさんとの2ショット。大好きなバーでビリヤードをすることが趣味!ビジネスも真剣に考えて、家族の事も第一に考えるジェイソンさん。とっても参考になりました!

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さいごに

こう言った感じで色々な人にインタビューした記事をのせていこうとおもっています。ジェイソンさんは40代の時に会社の働き方が嫌で自分達だったらもっと上手く出来る!と決意してから15年、ほとんど営業も広告もナシで口コミで広がったと言っています。良いもの・良いサービスは自然とお客が集まるし、リピートしてくれる。値段が他社より3ドルや5ドル高くてもそれで飛躍的にサービスが良くなるのであればお客さんも率先して出してくれるはずです。


このインタビューシリーズでは起業する事が大事、と言う事を伝えたい訳では無く、今の世の中にはインターネットや電話の普及で色んな仕事が、色々な場所で可能です。昔だったら会社に一台しか電話が無く、コンピューターも高いのでオフィスに数台しか買えないから会社に行く事が必要だった訳ですが、今はメールも電話も個人で持っているので会社にいる必要がないのにまだ深夜まで残業させている会社ははっきり言って半世紀くらい時代遅れです。


インタビューをしていて思ったことは、ジェイソンさんは人を大事にする人です。人がいるからこそ会社が成り立つし、会社が人を大事にしなくなったらその会社はまず「やばい」か、利益だけに目を向けて大事な事が見えなくなっているかもしれません。


ヨーロッパもアメリカも今はスマートに仕事をする時代(例えば4hour work week・なぜ、週4時間働くだけでお金持ちになれるのか?のビジネス本など)に変わって行く中でどんどん取り残されて行く企業にしがみついている30代の人が少しでも減ったらな・・と思って書いています。人生、長いようでそんなに長くない、でも定年まで30年もあるなら働き方から改善していったらいいな、こういったインタビューから学べるものがあったらいいなと思います。



#インタビュー #モチベーション #社長インタビュー #起業





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