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[インタビューシリーズ] 勤め先から押し出され開業、流行りの治療院を営む夫婦の話




前回日本に帰国した時に日本人の働き方に疑問を持ち、何か改善する方法は無いかと考えた所、今楽しく、時間を上手に使って、好きな事をやっている人にどうやってやっているのか聞いて見たら勉強になるんじゃ無いか、と思ってこのインタビューシリーズを始めました。


*シリーズ第一弾「フリーランスからIT企業の社長になった話」はこちら


今回は、同じ日に夫婦で務めていた鍼灸整骨院を辞めることになったがそれがきっかけで開業に踏み切った夫婦にインタビューしました。「山村鍼灸治療院」を開業して4年弱、宣伝活動(広告、看板、ブログSNS等)一切なしで口コミだけで予約は一杯。そんな”流行る”治療院の秘訣を探って見ました!

1)鍼灸師とはなんですか?マッサージとはどう違うのですか?

鍼灸とは鍼(はり)を体にさすはり治療とお灸(きゅう)の事です。鍼灸師として働くには はり師・きゅう師の国家資格を取る必要があります。


はりやお灸の基本的なメカニズムは、体に異物(はり)を入れる、またはお灸やもぐさで皮膚を軽くやけどさせる事で身体が危険を察知し治そうとしてその箇所に白血球が集まり、痛い箇所が温まる事で自己免疫力を高め、悪いものを自分自身、自分の身体から追い出すことを助けます。


西洋医学(ヨーロッパやアメリカから入ってきた治療法)は身体の悪いものをアタック薬を投与したり、外部から取り除く、と言う考えをベースにしています。


東洋医学はそれに比べ、[気]を補うと言う考えをベースにしています。陰陽のバランスが崩れると病気になると考えられています。


陽が勝って、陰が負けている(熱が強すぎる)もしくは陰が勝って、陽が負けている(熱が足りない)場所を補い、バランスを整える事で体調が改善します。はりやきゅうはその陰陽のバランスを整える手助けをします。

2)山村鍼灸治療院はどんな所ですか?

ビジネスは「誰かにとって価値のあるものを提供する」事で成り立っているので、私達のビジネスモデルを簡単に説明すると自ら健康になろうとする意欲のある人、体の不調を整えたい人が集まる場所、と言うと分かりやすいでしょうか。


私達は3割負担の保険適応の治療院でも働きましたが、今は保険外で1時間5千円の料金設定をしています。


2人とも長年鍼灸の仕事をしているので ある程度の不調は治せる!腕には自信があります。私達の治療院は、「腰が痛いんですね、では毎月来て下さい」と言うアプローチではなく、治せるものは1回の治療で治します。もちろん経営側から見たら2回、3回来てもらうように言う方がお金になりそうですが、1回の治療で治してくれるんだったら自分も行きたい!と言う治療院にしたいんです。


この治療スタイルを気に入ってもらい口コミで広がったのかと思います。そして口コミのみで広がったことがよい循環を生んでいるように思います。 新しく来られる患者さんは ”どんな治療をする”か紹介者から聞いている方がほとんどで 。最初からスムーズに治療の話に入ることがで来ます。


治療の方法についてNGが出たり苦情が出ることはほとんどないです。クレー厶は今のところゼロ。もし不満な点があったとしても基本的に前向きに話し合って解決できるので患者さんにも満足してもらっていると思います。

3)開業に踏み切ったきっかけはなんですか?

完全なる『押し出され開業』ですね。笑


夫婦で務めていた鍼灸整骨院を同じ日に辞める(させられる)ことなり、それまでの患者さんを引き継ぐ人がいなかった、小さい部屋を借りて治療院を開業しました。 以前の勤め先の近くなので続けてきてくださる方もおられ、特別な集客活動は特にしませんでした。各自30代、40代の時でした。


あとはコストを考えた時、固定費が少なく、在庫のでる仕事ではないのでリスクをあまり感じなかったのもあります。人件費は夫婦だけですし、仕事場も小さいので家賃も安い。鍼灸は材料費が安い鍼とお灸だけ、後は施術ベットのみです。


あとは気持ちの問題ですかね。自分たちは腕が良い!腕が良い人には患者さんが集まって来る!と言う前向きな姿勢だったり、周りの評価を気にしないでスタートした事が一番大きいです。自分たちの治療院がどう見られているか気にしていたら怖くて何でも出来なくなってしまいますが、患者さんがこの治療代を払って求めている価値、それ以上の価値を提供できるようにする事、それだけ考えていれば結果は付いて来ますし、周りの評価うんぬんは気にならなくなりました。

4)ぶっちゃけ・・・大変ですか?

年金や、社会保険、税金の管理も全部自分たちで管理しています。一見大変そうに見えますが大変!って感じるより”これだけやったら自分たちに帰って来る”からそう言った経営の仕事はあまり重荷に感じません。税理士さんとか雇って外注することも出来ますが自分たちで把握していた方が今後にも良いと思っています。


節税に関してはレシートは全てとっておいて、あとは言い切る事が大事、と先輩に言われました。笑


開業して最初の3年間は国の援助もあって消費税は払わなくても大丈夫なんですが、3年目以降は1000万円以上の所得に関して消費税が取られます。そしたら一気に80万円マイナスになります。


もちろん1000万以上ガンガン稼ぐ!とか目標にやれば良いと思うかもしれませんが、逆に過労がストレスになってしまって本来の治療に集中出来なくなります。


必要以上に儲けようとせず、幸せに暮らせるようにする事が大事なんじゃないでしょうか。


ストレスを感じないでいられるので、治療という本来の仕事に集中できます。


予約の電話も大きな病院や治療院であれば受付が取ってくれますが、自分達で予約を管理する為、電話が取れないこともあります。(娘さんの)学校行事等で予約を入れられない日もあります。最初はそれで患者さんが離れて行かないか気になったんですが、掛け直すと大体良いように捉えてくれて。すぐ電話に応対出来ないのは、予約が取れないのは流行っているから!と解釈してくれ。頑固親父のラーメン屋の方が流行るってイメージでしょうか?そんなに気にする事無かったなと思います。

5)経営者からみた働き方と、従業員の時の働き方から変わったことはありますか?

時間に対する見方が変わったのが一番大きいです。従業員だった頃は雇われている間はきっちり仕事をしなければと思っていましたが、開業してからは予約が入っていない時間は自由に使っても良いんだ、と感じる事が多いです。自分が自分の好きな事に時間が当てられるというのはとても選択肢が増えるんです。


いずれは自分で働く時間を決めてやれるようにしたい!と思ってましたし、何時から何時まではシフトの時間、といったしばりがなくなったのはとても有り難いことです。


時間のしばりがなくなる事で本当にしたい生活のチョイスやセレクションが増えるんです。娘の小学校のPTAの仕事も治療と治療の間に片付けたり、行事があればその時間帯は予約を取らない選択も出来るので、仕事で折角の子供の発表会に行けない、なんて事も無くなります。


あとは治療の後に患者さんから言われるありがとうの重みが増しました。従業員の頃はあなたのこの治療に対してありがとう、と言われていたのが、開業してからは「自分が開業することを選んだ事でこの人の幸せに繋がった」と思うと自分自身の人生のチョイスを全部肯定されているようですごく励みになります。


今年は患者さんの紹介で石垣島まで出張治療を頼まれ、春休みだったので家族も連れて行くことにしました。旅費がかかったのでそれこそお金にはなりませんが、新しい出会いがあったり、将来的に良いつながりが出来たので出張も悪くないなと思いました。

6)若かりし頃の自分に(20代、30代)アドバイスがあるとしたら何ですか?

旦那さん:小ざかしい事を言われるよりは、「このままで良くやっているよ!」って言われたいですね。


奥さん: 私は「バランスシートくらいは読めるようになっといたほうがいいよ」笑って。

旦那さん:あれ、今はじゃあ読めるの?


奥さん:まぁ?まぁね!


旦那さん:過去の奥さんにアドバイスするんだったら3年くらい前に戻って、通信講座申し込んでも押入れにしまわれるだけだよってアドバイスするかも・・・笑


こんなやり取りもありましたが・・

ご夫妻のお写真。

ご夫妻のお写真。


結論を言うとこう言う事だそうです!


奥さん:自分が変えることができるのは自分だけということ。特に若い自分に伝えたいです。 自分の理想、良と思うことを周りに暑苦しく伝えようとしても伝わらず、苦悩していたけど無駄でしかなかった。 結局自分の不満の投影でしかない、それよりも自分自身も周りも受け入れれば自然と良い方向に流れてい来ます。


まず自分を受け入れてあげたら~?ってとこでしょうか。


(といいつつ子育てには活かされておらず・・まだまだだそうです。)


そして最後にこんな質問もしてみました! このシリーズにちなんで、日本人の働き方や考えについての意見を聞いてみました!

7)日本人の働き方についての意見や問題点など

日本人は”大多数の意見”や”分かりやすい意見”に流されやすい気がします。例えば、

  1. みんなが残業してるから自分も残業する

  2. みんなが夏休みを取らないから自分も取らない 等。

あとは国に安心を求める人がすごく多い。例えば最近の小学生のなりたい職業ランキングに公務員が入ったり。1000兆円以上の借金をもつ日本の公務員になってそれで大丈夫なのかな?と考える人は居ないのかな?薄々は感じてはいるけれども声には出さないですよね。


海外だと(例えば)国がしっかりしていないから国には安心を求めていないし、自分でやるしかない、と考える人が圧倒的に多い気がします。安心感を求める日本人、自分でやろうとする外国人、起業する人が多いのも私がやった方がうまく出来る!と思っているから出来るんですよね。


あと、”苦労”や”忙しさ”にスティタスを置く人が多いと思います。ゆったり、楽な道を、簡単な方法を選ばず、あえて難しい、めんどくさい、負担がかかる方法を選んでしまう。そして自分が忙しい!って言うのが心地いい人って多いと思います。


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インタビューは以上になります!


山村鍼灸治療院のご夫妻、お時間ありがとうございました!


山村鍼灸治療院の詳しい場所などはFACEBOOKのページをご覧ください。旦那さまはスポーツ医療の鍼灸、マッサージ、奥さまは美容鍼などでシワのケアやアンチエイジングなどもやっています。広島へお越しの際は是非よって見てはいかがでしょうか。

さいごに

今回のインタビューをお願いした時に「私たちビジネスって感じではないけど大丈夫?」と聞かれましたがこのインタビューシリーズでは起業が、とか、ビジネスが大事、と言う事を伝えたい訳では無く、色々な働き方がありますよ、こういった観点を重点に置いて働いています、という事をインタビューを通して学ぼう!を目標にしています。


第一回目のインタビューのジェイソンさんも今回の山村夫妻も「多少のコストが多めにかかっても腕が良いところに人もお金も集まってくる」という概念も似てますし、人を大事にする事、サービスを求めてくる人の事を第一に考えている、その人達を助けたいからこの仕事をしているスタンスでやっているからやりがいもあるし、繁盛もしているんだと感じます。

ちょっと自己負担が多くなっても1回で治療を終わらせてくれるように頑張ってくれる人達だからまた行きたいと思うようになります。


「自分が行きたい治療院」を作るお二人、患者さんにありがとう、と言われたら鍼とマッサージをありがとう以上に人生を全肯定されていると思える!という言葉が印象に残りました。


お二人は時間をうまく使って、経営に関してほとんどストレスを感じないとおっしゃってました。「ストレス社会」と言われている今だからとっても貴重な働き方ですね。私も見習わなければ!と思いました。時間を有効に使う。余れば自分に使う。とても参考になります!

#インタビュー記事 #鍼治療 #山村鍼灸治療院







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