
よく旦那と「ベルギーの若者たちはなんかういういしくて、嫌味っぽさがないよね」って話になります。嫌味がない、というか他人と比べたりしないからイジメも少ないのかな?(あるとは思うんですが、なんとなく陰険さが無い)ベルギー人の同僚と接する旦那も、フランスに比べたら陰口や噂話なんかも圧倒的に少ないし、自分と他人を比べようとしないから教育方法がいいのかね、という結論になりました。
先日娘の幼稚園で「子供の感情表現についての学校の取り組みを説明するから時間があったら聴きますか?」って言われて、いつもオランダ語だから断ってたんですけど英語でなるべく説明するし、コーヒー飲めるって言われたんで聴きに行った時に色々と教育方法についてじっくり聞けました。
まずその前にベルギーの幼稚園の選び方が結構特殊なので説明します。
基本的に2歳半なった年の9月か1月に入れます。
その際には近所のどのスタイルの幼稚園がいいか見学したのち選べます。
大まかにカテゴリーを分けると(一年前くらいにやったのでうろ覚えですが)
*カトリック系の学校→今は特に宗教に絡んだ教えなどはやっていませんが、教会の隣に隣接していることが多く、評判はいい学校が多い。施設も綺麗。
*スタンダード(Traditioneel)→普通のベルギー政府のカリキュラム
*ドイツ系の学校(Jenaplan)→1920年代に出来た方式で、親と子供が学校行事に参加しながら教育を進めて行く、親参加型の学校。(その点日本の学校に似ているかも知れません。)
*はたまたドイツ発祥(Steiner)→こちらも1919年にドイツ発祥で3段階に別け、まずは何かを作ったり遊んだりする中で自由に遊ぶことに集中、次の段階は違った表現の仕方と、社会的能力を学ぶ、3段階目は理論的に物事を捉え、他人の気持ちが分かる様に教育することで自由だが責任感のある子供に育てる。
*経験型(Ervaringsgericht)→これがうちの娘が行っている学校で、子供の興味を主体に勉強をして行きましょうという姿勢。先週はクラスの男の子が恐竜にハマってて1週間恐竜と進化論の話をして、金曜日にはみんなで(作りたい人が)作った恐竜の粘土の飾りを中心に博物館の展示の様に教室を恐竜グッツで一杯にしてました。
*オランダ系(Dalton) ->こちらも1920年代にオランダ発祥の教育論。子供の能力と社会の必要性のバランスを見て教育するというもの。
ドイツ系・経験系・オランダ系は発祥が違ったとしても有名なモンテスーリ論、いわゆる子供から興味が湧いた物を教える、教室に座らせて覚えさせるんじゃなくて外で遊びながら農業の話をしたり、数を数えたり、楽しみながら学んで行く事を目的にしていて、基本やりたい人はやってください、って感じなのでやりたく無い生徒は教室で勝手に遊んだりしてます。
その他にも*Freinet→こちらも自由に書き、自由にデッサン、共同作業を通じて学ぶ。60年代に確立して今来たヨーロッパとカナダで広がっている教育方法。
*Leefsschool →言葉の意味は”ライブスクール”と言って自然の中で遊ばせて色々学ぶというスタイル。
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こんなに沢山あるし、現地で見学する時間も無かったので、とりあえず家から近かった、空きスポットが多かった順で希望を出したら見事に第一希望の*経験型(Ervaringsgericht)に入ることになりました。
今の所一年弱通っていますが、現地のベルギー語もペラペラになりましたし、楽しそうに学校に行っているので満足しています。
話は戻って、この学校で教えている感情についての話。
経験型、と行っても一応は何を教える、と大まかなカリキュラムはあるそうなんですが子供の興味に合わせて前後左右するみたいです。大体のアクティビティが遊びから学びますがそこでいつも強調する点が本人の自己肯定感を高める様に教育しているとの事。
こうしなくてはいけない、ああするべきというのも一切なくて、みんながみんな良いんだよ、こうやって表現するのも▲▲ちゃんの様に違う表現をするのも良いんだよーって教えているそうです。
喧嘩になったらどう仲裁するのか?というと、まず自分がされて嫌に思った点をはっきりと相手に伝える。
「ママが意地悪な良いかたをして、私は傷ついた」とよく言われます。反省。
そしたら相手はなんでそれをした、言ったかを伝える。
「それはママが何回も言ってるのに聞かなかったから怒った」
お互いにじゃあどうするべきか考えましょう、という仲裁をするんだって。
すごく理にかなっているけど、普通だったら「そんな言いかたしたらダメでしょ。▲▲ちゃんに謝って」って仲裁に入っちゃう気がしますが、確かに言われてみれば何がダメなのか、どういう気持ちになったかって本人から言った方が良いですよね。今後の為にも練習になるし・・。よくイジメられる側に問題がある、とか言う論もありますがそれがまさに”即座に嫌”って言えてればイジメもエスカレートしないのかなってふと思いました。
それと同時に小さい頃からそうやって自分のこの感情がどういうものか、なんでその感情になったか相手に伝える事を教えているベルギーの学校ってすごい!って思いました。これだから陰険になろうとしてもすぐ相手に”それ嫌なんだけど”って言われたらイジメた側も張り合いないな〜って引き下がりますよね!
自分の感情に正直で、それを相手に伝えるってそういえば日本では教えないな〜って気づきました。今の旦那の前にも外国人の彼氏がいたんですが、「自分の思っている事をどうして言わないの」って指摘されました。日本だと我慢してなんぼ、って精神があったり、むやみやたらに疲れたとかそれは嫌だ、というのはわがままだ、って言われますけど相手がいつも自分の気持ちを察してくれる訳でもないので2人以上の人が共同で生活する場合、こういう風に(悪気なく)私はこうやって言われて傷ついた、って言ってもらえたら、なぜ自分がそういう言い方をしたのか話し合いをして、解決するってすごく自然で良いコミュニケーションの仕方だなーって。それが分かった所で大人になってから自分の気持ちをいざ伝えようと思っても難しいんです。子供の時からやってないと自然と出来ない事だな、って思います。
最初に戻って、なぜベルギーの若者達が嫌味っぽくないかって、多分こう言った喧嘩の仲直りの仕方、っていうのを小さい頃から学んでいて、自分の気持ちがしっかり表現できるからなのかな、って思いました。
ま、これだけ若者の称賛をしておきながら、先週末にご飯を食べに行ったレストランでメインが出てくるまで1時間半くらいかかったので自己肯定感が高すぎるベルギーめ・・もうちょっとサービス能力を上げてこいって思いましたけど。笑