海運業界からみるSDGs

SDGs(エズ・ディー・ジーズ)とは、

Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)


2020年の1月、IMO(International Maritime Organization)というところから新しい国際輸送に関する規制がスタートしました。それは「船の重油(バンカー)のSulfurを3.5%から0.5%に引き下げる」というもの。


このSulfurというのが、大気汚染、といわれるPM2.5の原因とされている物です。このレベルを3.5%から0.5%に引き下げるのは、気候変動にはとても良いのですが。


もちろん、その分蒸留する必要があるのでコストがかかるわけです。


有機野菜が体に良いのはわかっているが、

通常の2倍の価格、という感覚です。


船会社としては、この2020年の規制に対し、2種類のソルーションがありました。


1)スクラバーを設置する

Scrubberと呼ばれる自身の船で蒸留できるシステムを設置することで、市場に出ている3.5%の重油を引き続き購入することができる。


2)0.5%の重油を購入する


導入初月の1月、重油の価格は2019年平均に比べると2倍以上に膨れ上がりました。


一度に何百、何千トンの重油を購入する商業線は、その価格が2倍になると一度の給油で、追加で数百万から数千万の出費になる、わけです。


そうすると、どうなるのか?


安く買えていた輸入品や、輸入食材が高くなる、という現象が起きます。


つまり企業や船会社が導入するSDGsを最終的に誰が払うか、と考えた時に、

結局消費者が払うんですよね・・・。あはは。


2030年までにcarbon neutralを目指す


今、欧州では2030年までにカーボンニュートラルを目指す、と言われています。

現時点で、ベルギーや北欧州では風力発電、太陽光発電を中心に、家庭で使われている電気は、ほとんどが再生可能エネルギーでまかなえています。


じゃあ船は、風力発電、太陽光では運行できないのか?


セオリーでは可能なんですが、開発コストがものすごくかかる、上に、どんなに大きな船会社だって700−800船くらいなんです。そして各船は20−30年くらい使われます。

だから開発する側も受注が取れないと開発費だけ大きくなってしまい、元が取れないという状況になってしまいます。


現在は スエーデンのWallenuis Marineという会社が、風力発電で運行するCar Carrier(車を運ぶ船) を開発しました。5本ある支柱は360度、どの方向からも風を効率的にエネルギーに変えられ、欧州ー北米の大西洋を12日で横断することができます。


ノルウェーでは全自動運転の、「電気フェリー」を開発しました。

橋を渡って歩くと15分かかる川を1分で渡る、そんな便利なフェリーを全自動で、しかも電気で動かしているので排出ガスもゼロ。


だだし、これらをカーボンニュートラルと呼ぶます。


カーボンゼロじゃないの?


と思った方もいるかと思いますが。


カーボン(CO2)の排気ガスは、これらの船の運行中は出ませんが、製造過程では、重油を使ったり、実際にその場所に設置するためにトラックで運んだら、それは排気ガスが出てしまいます。だから完全のカーボンゼロとは言えないのです。


製造過程+運行過程で排出したが、実際の運行ではカーボンゼロなので「差し引きゼロ」という意味で「カーボンニュートラル」という言葉になった訳です。