
うちの商売は船に原油を売ってるのでOPECのニュースには敏感な方なんですが、今回の減産のニュース直後からほぼ10%上昇して2日経ってからWTIは1バレル50$あたりをうろうろしています。(ちなみに7.14751バレル=1トン(1000kg)なので1バレルは140kgくらいの重さ)
安くない?と思いますが原油っていうのは私たちが家で使う灯油や車のガソリンみたいにサラサラにした状態でなく、もっとドロドロの抽出前の状態です。そこからRefine (精製)すると一般的なガソリンになります。
元々2年以上前までは1バレル100$以上で取引していました。OPECが市場のだいたい4割、その他アメリカやカナダなどは2000年以降シェールガス革命でだんだんマーケットシェアを増やし始めていました。ロシアや北海、アフリカでもどんどん新しい技術の開発によりOPEC各国の「シェア」が少しづつ減っていました。2012になるとUSのシェアがぐんぐん伸びているのがわかります。

そこでOPECが仕掛けたのが価格競争に対して「何もしない」
実は北海・アメリカやカナダの生産コストは1バレル100$では採算がとれるものの、1バレル50$以下になるとギリギリか赤字になります。石油会社の黒字の多くはR&D(今後採掘できる場所のリサーチ費用)に当てられるのですが、この2年の原油価格が半分以下になったせいで破産した小さな会社も多く、BP、ChevronやShellも大幅な人員削減やロスカット(北海のR&Dはどこの会社も撤退)売れない港でのビジネスもカット、新たな発掘リサーチにはあまりお金が回っていません。リサーチにはだいたい2年くらい時間がかかるので、リサーチ代が払えなかった分、ここ1−2年後に掘る場所が特定できてない分、コスト高で掘り進めることになります。
今まさに日本の昭和シェルと出光興産やJXと東燃ゼネラルの統合がこのタイミングになったのはなどはそういったコストを低くする、共同で製油所の統合をすることで生き延びる他なかったのかな・・という気がします。
OPECの中東の国、特にサウジアラビアやクエート、イランなどは1バレル20$になっても黒字になる程生産コストが低いと言われています。(R&Dを含めなければ2-4$という噂も?)
なので今回の2年間の原油安は先進国での原産国のマーケットシェアを減らし(特にアメリカ・カナダ、ノルウェーなどが打撃が大きかった)中小企業を市場競争から追い出し、大企業も2年間の資金のやりくりが難しくなった、R&Dに十分な資金を回せなかったのでこれから2年、勢力が弱まるであろうこのタイミングに!
OPECは大幅な減産を発表。
競争相手がいなくなって、自分たちにマーケットシェアが徐々に戻ってきたところで値段も戻してきました。ちなみに減産する量も「日量120万バレルの減産」とうたってますが、マックスで生産してたとしたら・・という量からの120万バレルなので実質的にはそんなに変わらない・・らしいデス。

ここでもうちょっと私たちの日常に役立つ情報を。
もし車のガソリンの給油があればすぐやったほうがいいです。ここ1−2日内に。
私の独断と偏見ですが。だいたいWTIのマーケットの値段が私たちの家の近くのガソリンスタンドの料金に反映されるまで1週間くらいかかります。だから2日前から値段が10%上がったのは来週には反映させてしまうので早めの給油をお勧めします。